澄んだ瞳に
ガキと自己チュー
私たちは、本来の目的だった、映画を観るために、映画館へと向かった……
「ねぇ?さっき、話が途中になったけど、矢崎さんに何て言われたのよ……」
「それがね、いきなり、今度、俺に付き合え!って……」
「え゛―――――っ!?」
智香の声に、近くを歩いていた人の視線が、一斉に私たちに向けられた。
「智香……声が大きいよ〜……。」
言われた本人の私も、あまりにも突然で、驚いているのに、智香の驚きようは、私の数倍にも及んでいる。
「ごめん、ごめん。澪が突然、変なことを言うからだよ……」
「変なことって、私が言ったんじゃなく、あの人が言ったんだからね…」
「あっ、そうだったよ。あまりにもビックリしたからさ〜…」
「でさ、いきなり、俺と付き合って!って言ったんでしょ?」
………ん?
智香、聞き間違えてる?
微妙に違うんですけど……
「ね〜?どうなのよ……」
「智香、落ち着いて聞いてね。」
「さっきから、落ち着いて聞いてるよ。」
嘘!
かなり、動揺してるでしょ……
「あのね、今度、俺に付き合え!って言ったの。」
私は一字一句、ゆっくりと話した。