澄んだ瞳に
映画館の前まで、やって来た。
平日とはいえ、夏休みというのもあって、休日と変わらず人が溢れ反っていた。
チケットを買うため、智香が並んでくれた。
毎年、夏休みに公開されるシリーズものの映画を観ることにした。
毎年、智香と一緒に観に来ている映画。
智香が並んでくれている間に、ポップコーンとドリンクを買う。
今日の遅刻の罰として、私が奢ることになっている。
罰として、澪の奢りだからね!と言っても、実際智香は、お金を払ってくれている。
遅刻の常習犯からの、せめてものの罪滅ぼしで、今日は智香から、お金を受け取らないつもりだった。
「塩味とキャラメル味を一つずつと、ジンジャーエールを二つください。」
商品を受け取り、エレベーター乗り場の脇で、智香をまった。
「お待たせ〜…」
「スクリーン8だって。あまり時間ないよ……」
エレベーターに乗り、3階へ
スクリーン8と書かれた劇場に入った。
座席指定なので、座席番号を探しながら、階段を上った。
「あった!ここだ!」
智香が奥に座り、私が手前に座った。