澄んだ瞳に




店を出た私たちは、そのまま駅へと向かい、電車に乗った。




電車の中、智香は矢崎さんのことばかりを話してた。



私は、うん。うん。と返事をしていたが、ほとんど頭に入ってなかった。




駅に到着して、電車を降りた。




駅で、智香と別れた。




別れ際に、念を押すように智香が言った。




「ちゃんと、電話かけるんだよ。矢崎さんとの電話が終わったら、かけてきてね。楽しみに待ってるから……」




「うん。わかった。」




全く、他人事だと思って…私は、どうしよ…と思ってるのに、楽しみに待ってるからと、ニコニコしてる智香が、少し憎らしく思った。




智香と別れ、家への道を歩いた。




私の今の気持ちと同じで、足取りが重かった。






< 52 / 277 >

この作品をシェア

pagetop