澄んだ瞳に




私は、智香に電話をした。



智香も、待ってました!とばかりに、ワンコールで、電話に出た。




「矢崎さん、何て…?」




もしもし?もなく、いきなり本題を突き付けてくる、智香だった。




「いきなり、遅いっ!って、怒られた…」




「なんで……?」




「よく、わかんない。」




「それで……?」




智香は、早く核心部分知りたいようで、話を先に進める。




「今度の日曜日、10時に駅で、待ってろ!って……」



「……それで?」




「それだけ……」




「……それだけ?」




「うん。それだけ……」




「で、澪は、何て返事したの?」




「はい!って……。」




「やったじゃん、澪〜」



やったじゃんって………。

逢えることに関しては、正直、私も、やった―って、思った。


智香は深く考えるな。と言ったけど、矢崎さんは、どういう意味で誘ったのかが、気になった私は、智香のようには、素直に喜べない……



でも、そんな私の気持ちとは、裏腹に智香は、自分のことのように、喜んでいた。

それが、今の私には、少し心苦しい。




智香は、話続ける……


「今度の日曜日って、明後日じゃん!」



智香に言われるまで、気付かなかった。



手帳を取り出し、カレンダーを見て、確認する。



間違いなく、明後日だった


「澪、楽しんできなよ」



何処へ行くとも、何をするとも、何も聞いていないのに、楽しむも何もない。
不安になる一方だった。



智香との電話を切った。



その後は、いつもと変わりなく、ご飯を食べ、お風呂に入り、テレビを見て過ごした。



それにしても、今日一日が長く感じたのだった。





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