LOVE IDIOT




『金魚温泉〜、金魚温泉〜・・・』





「!」

津田(=生出っ歯)のどす黒いアナウンスメントが流れる。
もう着いたの!?(速いなっ!!)

「あぁ、ここかー」

「懐かしいな」

「え?(懐かしい??)」

涼はさっきから笑顔で金魚温泉を見つめている。

・・・?

「ねぇ、なにが懐かしいの?」

「あ、宮比ちゃん知らないっけ?」

京さんが話しかけた。

「そっかー、そうだよね。あの時はまだ宮比ちゃん、こんなんだったからな〜(笑顔)」

そう言うと京さんは手を京さんの腰にあてる。
そ・・・そんなにチビじゃなかったもんっ!!!(今でもチビだけどさぁ!!)

私は京さんの背中を軽く叩く。

「ごめんごめん、いやぁここはね―――――」





「―――――僕のお婆ちゃんの旅館なんだ」





「お婆ちゃん・・・?」

後ろでは京さんが涼に台詞を取られたので、泣きわめいている(負け犬の遠吠え?)。
そういや、私まだお婆ちゃんには会ってないなぁ。

「じゃあ、涼のお婆ちゃんが経営してる旅館なの?」

「まぁ、そうだけど。今は母さんが受け継いでるけど」



佐山さんが?



「なんで?お婆ちゃんが経営してるはず―――――」



「もう、居ないから」



・・・え?

「いないって、涼さん」

「それって・・・」

「・・・あぁ」



ズキッ



急に悲しい顔を見せる涼。
それが私には、凄く、辛く。

いつもの涼じゃなく感じた。

「じゃあ、涼のお婆ちゃんって他界・・・」





「いやぁ、なんか急にお婆ちゃん海外に恋人が出来たとか言って三年前にNY行っちゃったんだよね」





「・・・え?(呆気)」

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