LOVE IDIOT
そして囁かれる、その甘い声で。





『宮比・・・もう君は僕のものだよ』





「・・・宮比」

「っ!!」

「聞いてる?」

「え、あ・・・てか涼離して!!」

つか私は私のものだよっ!!
なんでキスだけでアンタのものにならなきゃいけないのっ!?

なんだか全てがシャットアウトしたようで、涼と視線を合わせられない。

「意味分かんない!!」

「意味分かんない?それはこっちの台詞だね」

まだ涼は私を離してくれなくて、むしろ力を入れていった。

「(い、痛い・・・)りょ、涼―――」

「ねぇ、黙ってないと痛くするよ?」

「てか黙ったら司のこと話せないじゃん・・・い、痛いっ」

私は勝ち誇った様に涼に微笑んだ、涼は苦い顔をする。
つか・・・!

「涼・・・ほ、本当に痛いよ・・・!」

「・・・」





ちゅ





涼は私に触れるだけのキスをした。
それでも痛みは解けなくて、ちょっとだけ涙がでた。

「・・・これでも怒ってるから」

「り、涼の嫉妬で振り回されたくないよっ!!」

私は保健室のドアに向かって逃げた。
涼が怖くて怖くて、初めて涼が怖いと思った。





バタンッ!





ただのワガママが、あそこまで侵す。
前まではほんの冗談だったのに。

あの痛みが私の優越感をを消した。

「・・・嫉妬させてんのは宮比でしょ」





涙は少し、しょっぱかった。





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