LOVE IDIOT
私は陸上部を後にして涼ん家に向かおうとした。
けど、





「―――――ふーん、今からカレに会うわけだ?」





ピクッ


「いーよねー。もうすぐ大会あるっていうのに部活サボって、エースはそんな楽が出来るのかー」



・・・ちょっと待ってよ。



「おまけにこんな可愛い彼女、チョー意味分かんなーい」


ザッ


私は足を止めた。



「涼は、そんな奴じゃありません」



「・・・」

・・・どうしたっていうの柴崎さん。
最初会った時、確かに苦手だった。

でも、柴崎さん。





「一体、なんなんですか―――――?」





・・・ニヤ


「・・・ごめんごめん!冗談だって!もしかして怒ってるー??」

急に表情をコロッと変えた柴崎さん。
いつもの笑顔、かと思った。

「・・・違う」

「え?」



「―――――私に、嘘つくんですか?」



なにか、いつもと違う。


 * * * 


帰り道、俺は早瀬さんの顔をふと思い出した。



『すいません斉藤さん!このかりは今度返しますからっ!!』



「(男前だなぁ・・・)」

でも、かりって・・・

「(・・・なに?)」


 * * * 


「・・・」

「・・・」

髪を一つに束ねている柴崎さん。
汗が光る。

「・・・何言ってんのー?嘘なんか一つもついて―――――」

「それが嘘なんです」

「っ・・・」

少し驚く先輩。
私に嘘つくなんて、十年早いです。

これでも私、結構、勘は良い方なんで。

「・・・早瀬ちゃんはさぁ、」

「・・・?」



キュッ



靴が鳴る。







「『佐山くん』のこと、どう思ってるの―――――・・・?」







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