LOVE IDIOT
えー・・・ケチ。
寒い中、私はかじかんだ手をポケットに入れた。

「そんなに寒いの?」

「ガッチガチですよ」

背筋が凍るっつーか・・・
すると涼は私に黒い手袋を渡した。

「貸してあげる」

「嘘!ありがとう!」

「ん」

さっそくつけると、温かい・・・!
いいのか私こんなに幸せで!?

『幼馴染』と『彼氏』の違いってこんなにも歴然としてたっけ!?

「いーなー宮比・・・温かそう・・・」

「何言ってんの、あんたホッカイロ持ってんじゃん」

「いや、物の暖かさじゃなくて愛で温めてほしい・・・」

「ぶはっ!!」

「半年目は良いけど・・・やっぱ淋しいよ司ぁー!!!」


学校のチャイムが鳴った。


 * * * 


「文化祭?」


「そー!今年はうちらの学年が劇やるんだってー」

「藤堂さんが言ってたの?」

「そー」

さすがの教室はストーブで暖かい。
私達はポテチを一緒に食べながら休んでいた。

「え、今回なにやんの?」

「さー。話はまだ決まってないらしいよー?」

「ふーん・・・」

誰かが書くのかな?
それとも童話?

私は意外とシンデレラとかしたいかも。

「宮比なにがしたい?」

「シンデレラ」

「意外。私はキスシーンがなければなんでも良いなぁー」

「ぇえ、なんで」

「だって・・・司以外の人とキスとか・・・無理、うちなら引っ叩く」

ていうか、それ自分がお姫様の時だけでしょ?



「えー皆さん!劇が決まりました!」



え!?
私達は黒板を見ると。





「今年はシンデレラでいきます!」





「んなっ!?」

・・・ありえねぇ!!


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