LOVE IDIOT

強さと弱み

毎年、うちのやる文化祭はかなり好評。
イケメン目当てに他校の女子達がやってきたりする。

ほとんどが涼目当てなんだけど。

「台本は倉橋さん、明日台本を持ってきて下さい!」

「は、はいっ」

「美術担当の六人は一番後ろの観客席から見えるぐらい気合いいれて!」

『はい!!』

「役者さん達は衣装担当の人と三日間で仕上げること!」

『はい!!』

文化祭まで一週間!


 LOVE IDIOT
  強さと弱み


「藤堂さんのおかげでまとまりましたー!」

「ありがとー!」

いつもは三十分は掛かるミーティングも十分ぐらいで終わった。
どれもこれも藤堂さんのきっちりしたスケージュルプランのおかげ!

私は藤堂さんと一緒に帰るよう誘った。

「あ、ごめん宮比ちゃん。私まだやり残してることがあったんだ」

「そうなの?」

「うん、これから倉橋さんと台本のことでちょっと話さないといけないの」

偉いなぁ・・・

「分かった、じゃあ頑張ってねー!涼帰るよ!」

私は涼のシャツの裾を引っ張った。

「ん」

「また明日ー!」

「じゃあねー」

藤堂さんに手を振って、私は涼と帰ることにした。
まじめな藤堂さんって、私すごい好き。


 * * * 


「藤堂さんってまじめだよねぇ」

帰り道、私は藤堂さんの話を持ちかけた。

「うん、モテるだろうね」

「てか実際モテてるよ!ぇ、確か倉橋さんって藤堂さんのこと好きじゃなかったっけ?」

「あの眼鏡の?」

「そー!」

「じゃあ、二人っきりじゃん」

「倉橋さんラッキーだ!」


 * * * 


「じゃあ倉橋さん、今日はありがとうございました」

「ぃ、いえこちらこそ。話がまとまりましたのでっ」

あ、そろそろ帰らないと家庭教師きちゃう。

「じゃ、私はこれで。また明日」

私はドアノブに手をかけた。



「あっ・・・ま、待って下さい!」



「え?」


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