LOVE IDIOT
ふと藤堂さんの後ろを見ると、倉橋さんが台本とにらめっこしていた。
なんか、あからさまに大変そう。

「・・・うんっ、じゃー頑張ってね!」

「ありがとう、また明日ねっ」

私達は靴を変えに階段を下りた。





「藤堂さんって偉いよね」

ふと、華が私に言った。

「風紀委員で、生徒副会長で、今回の演劇しきって」

「うん、確かに」

「私なら絶対ムリ、途中で挫折する」

「私もー、サボると思う」

今日の昼間、そういえば藤堂さんトラぶってたなぁ。
でも、あの指摘がなかったらあんな良い家は出来てないかも。

「今日、なんか大変だったよね」

「私、疲れたー・・・司に会いたいー」

「いや、アンタもう会ったでしょ」

「だけどさー!!」

司のことで頭がいっぱいらしい。
私だって涼のことで頭がいっぱいだよ・・・

「じゃあまた明日ねー」

「じゃーねー」



その日は、雲の数をも覚えていた綺麗な夕焼けだった。



  *二日目*


二日目の朝はこの一言で始まった。





「早瀬ちゃん、もしかして太った?」





「っ!!!(ガーン)」

「な、夏先輩、直球ですねー」

「早瀬ちゃん、昨日なに食べたの?」

「・・・焼き肉です」

「と?」

「・・・大盛りご飯を少々」

「いつ頃?」

「夜・・・です」

「早瀬ちゃん、食べるのは良いけど・・・君の場合、伸びるんじゃなくて太るよ?」

だって・・・
だって・・・

「だって昨日はなんか疲れてたんですもーんー!!(泣)」

衣装の人には屈辱受けるわ、宿題多いわ。



柴崎さんの馬鹿ぁー!!(いや、馬鹿なのは私って分かってるけどね!!)



「なんでまたそんな量を夜に・・・」

「しかも炭水化物だよ!?」

「いいじゃんかもーっ!!(泣)」


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