LOVE IDIOT
なんだか、演技してるようには見えなくて。
涼が、綺麗で。
みんなの目の前でこんな堂々と手を繋いだのも、
たとえそれが演技だとしても、
「『とってもお上手でした』」
「『ぁ、ありがとうございます・・・』」
凄く、凄く、ホッとした。
「・・・カット!ブラボー!!素晴らしい!!」
「ど、どうもっ」
「佐山くんかっこいー!!///」
「キャーッ!!///」
どっからか黄色い声が聞こえてくる。
ちょっとズキっとしたけど、前よりは平気。
「宮比、途中でコケそうになったよね?」
「ぅ、うるさい!///」
「いや、ていうか、大丈夫なの?」
涼は私が着ている衣装のマントに指を指した。
「あ、そうそう。ちょっとマント踏んじゃって」
「長いの?」
「少しね、でもこんなの慣れ―――」
スルッ
「へ」
いつの間にか、涼は私からマントを取り上げた。
「衣装係さん、王子役のマントなんですけど。もう少し短くしてもらえません?」
「は、はい!ただいまっ!!///」
「ありがとう」
・・・。
「もう少し短くするように言っといたから」
「・・・ぇと・・・」
あまりの手際の良さに驚いた。
「・・・宮比?」
涼が私を呼んで我に返った。
「ご、ごめんっ。私まだこういうの慣れてなくて・・・あ、ありがとう///」
なんか凄い、嬉しい・・・
クシャクシャッ
「・・・ん」
涼は私の頭を撫でた。
私が照れたのが分かったのか、涼も少し照れていた。