LOVE IDIOT

滝の宮旅館

眠っている最中思い出す。

『君は僕のものだよ』

とか。

『涼の嫉妬で振り回されたくないよっ!』

とか。

色んな世界がごちゃごちゃになって、私は迷子になる。

踏み場がなくて。
君がいなくて。

それでも、光だけは指していた。


 LOVE IDIOT
  滝の宮旅館


『滝の宮旅館〜、滝の宮旅館〜』


「ん・・・」

しまった、カーテンしめ忘れた。

日の光が照らす、寝ている私には眩しい。
つか、眩しすぎ・・・

「(もうちょっと寝よ・・・)」





「宮比、いい加減起きないとキスす―――――」





「起きますっ!!(泣)」

涼の脅迫で起こされるなんて・・・
私の人生の中で一番嫌な事だよ。




「おー、景色が綺麗っ!」

「ホント!今日来て良かったねぇ!!」

華と司は大はしゃぎで、私なんて涼にずっと掴まっている。
ん、なぜかって?



それはね。



「涼・・・気持ち悪い・・・」

「大丈夫、あと少しで旅館だから(ヤバい、嬉しい)」



バス酔いです(虫の息)。



「涼・・・(駄目だ・・・動けん・・・)」

「ん、どうし―――――ッ!」



ただいまの台詞、涼ビジョン。



『涼・・・(涙目)』

涼の理性、ブッチギリです。
そして、我慢に我慢を重ねて我慢してます。

ギリギリ(危険)。

「(落ち着け、落ち着け、今はとりあえず落ち着け)」

そして自分の理性と真剣に格闘中(もう、どうにでもなっとけ)。

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