LOVE IDIOT
「じゃあ女子は先に入ってま〜す!」
つーわけで、さっそく温泉に行く事に。
男子と女子で別れて、卓球があるロビーで待ち合わせになった。
「じゃ、先に行ってるね」
バタン
「「・・・」」
あーまさか涼さんと二人きりになっちゃうなんて、思いもしなかったなぁ・・・
俺、苦手なんだよ涼さん。
なんか、目つきとか怖いし宮比だけ特別扱いだし。
あと、別に卑屈じゃないけど『学園一の美少年』っつーのもあんま・・・
俺としてはシックリこない。
「に、にしても凄いですね!涼さん、こんな旅館持ちだったんですね!」
「・・・別に、家だし」
「うっ・・・(だから嫌いなんだよっ!!!)」
「君ん家だって相当金持ちで大変なんでしょ」
「え?」
「大手レストランの社長の息子、じゃなかった?」
「え、あ、はい」
なんで涼さんが知ってる?
「大変だろうね、親が傲慢だと」
「な・・・べ、別に大した事じゃありませんよっ!」
「・・・」
人に自分の親を侮辱されたくない!
とくに涼さんには!!
「僕も、旅館の息子だと親が毎日忙しくて・・・構ってもらえなかった」
「・・・」
そういうと涼さんは少し寂しげな表情を浮かべた。
・・・確かに、状況は俺のと似ている。
だからって、別に俺と涼さんは同じじゃない。
「そう思うと、美土里さんには世話かけたな・・・」
涼さんは俺に同情されたいのか?
「・・・俺も、ちょっとそれは分かります」
「・・・?」
「いや、俺、母親が別居してて親父も毎日仕事で外出だし・・・だから俺、おばあちゃんっ子で」
「まぁ・・・同じって言えば・・・」
「同じ、ですね」
「・・・」
・・・風呂入りてぇ。
「涼さん、そろそろ露天風呂、行きませんか?」
「露天風呂?」
「はい!あー、きっと大きい温泉なんだろうなぁー、楽しみ!」
「あ、いや、その事なんだけど・・・」
「え?」
「今、混浴になってる」
だから嫌いなんだよ。