LOVE IDIOT

親子ともども

人はみな、人生に必要不可欠な五感を持つ。

視覚、それは貴方をみつめるため。

聴覚、それは貴方の声を見つけるため。

嗅覚、それは貴方と他を嗅ぎ分けるため。

味覚、それは貴方の口づけを確かめるため。

触覚、それは貴方と永遠につなぎ止めるため。

全て貴方のためにある。


 LOVE IDIOT
  親子ともども


「・・・早瀬・・・宮比ちゃん?」

「え・・・?」

聞き覚えのある声。
振り向くと、そこには美しい女性がいた。

なんだろう、なんだか懐かしい。

「人違い・・・だったかしら?」

「ぇ、えっ、いいえ!!はいっ、早瀬です!」

「え、本当!?久しぶりね、憶えてるかしら!」

キリッとした瞳、完璧に整った顔、細長い栗色の髪。

栗色の・・・髪?

「・・・も、しかして」

「何年ぶりかな、5・・・6年ぶり?」





「さ、佐山さん!!」





「ピンポーン♪」

「きゃー!お久しぶりー!!」

本当、なんて久しぶりなんだろう。
あー、この香り、変わってないなぁ。



本当、久しぶり!



「もー宮比ちゃんったら大きくなってたから驚いたわぁ、どう?涼は元気?」

「あー・・・元気ですよ!」

私を襲ったことすら忘れちゃうぐらい、本当迷惑なほど元気ですから。

「あら?その様子じゃ、ケンカした?」

「あははー・・・まぁ、そんな感じです」

「もーなにしてんのかしらあの子、ゴメンねいつも迷惑かけちゃって」

「いえ、慣れました(嘘です)」

この人は佐山澄さん。
まぁ、もう大抵分かってるかもしれませんが。



涼のお母様です。



< 58 / 289 >

この作品をシェア

pagetop