LOVE IDIOT
なんでだろう、胸がキリキリ響く。
共鳴?悲鳴?

分からない、なんだろうこの痛み。



凄く・・・凄く、痛い。



「私、寝るね。じ、じゃっ」

「待って」





グイッ





涼が私の手首を掴む、胸が痛い。
どうしよう、振り向けないよ。

「・・・あれ、嘘」

「・・・え?」

「襲ったの憶えてないって、あれ嘘」

「・・・」



ワッツ?



「な・・・は?」

「ちょっと意地悪したの」

「い、イジワル?え、だ、だって涼憶えてないって・・・」

「うん、嘘」

「う・・・ウソォ」

「うん」

・・・なにそれ。

や・・・止めてよこの変態!!
なんだこれ、な、なんか心配して損したんだけど!

ドS!エロス大魔王!!

「ね、寝る!!寝ますっ!!!」



ぱたんっ!



私は思いっきり襖をしめた。
し、心臓の痛みは消えていて。

その代わりに高鳴っていた。

「ば、馬鹿じゃないのアイツ・・・!?///」





「(『寝ます』って・・・)」

そう、この17年間、僕は演技をしてきた。
なぜかって?

そんなのいじめたいからに決まってるでしょ。

泣いてる顔、笑ってる顔、照れてる顔。



僕は、宮比が好きなんだよ。



でも、一つ本当に憶えてない事がある。

宮比が気絶してから、僕はなにか口ずさんだ。
・・・気がする。

なんだっけ、思い出せない。





『起きないと本当に今度は襲うよ』





・・・思い出せない。

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