LOVE IDIOT
精一杯の努力は報われなくて。
人生、やっぱり不公平なんだなーって改めて実感する。

つか、なんで立っているだけなんだ。

動け、僕。





ドーン!





「(花火見たいな)」

音だけの花火なんて、私は初めてでなんだか変な感じだった。
外はさっきより暗く、涼しくなってきた。

京さん、もう離れて。

「き、京さん・・・」

「・・・」



ぎゅう



「(なぜ!?)」

私は離れてほしくて名前を呼んだつもりだったのに、京さんはむしろ力を入れていった。
痛いわけじゃないけど、ちと苦しい。

「(苦しい・・・)」

「・・・宮比ちゃんは憶えてるかなぁ」

「・・・?」

急に話し出す京さん。
なにを憶えてるって?

「な、なにがですか?」





「俺が・・・初めて君に告白した時のこと」





「(い、いつそんなことを!?)」

なにを言ってるんすか。
旅館来てから二日か三日目で、やっと京さんは涼のお兄ちゃんって知ったばかりなのに。



あなた、いつ私に告白したっていうんですか!!



「(思い出せない!!)」

「その顔じゃあ憶えてないでしょ、まぁ・・・あれは無理ないけどね」

「は、はぁ・・・」

すると京さんは私を離して、夜空を見上げた。
まだ花火は続いている。



「実はね・・・宮比ちゃんと俺、これで会うのが初めてじゃないんだ」



「っ!?」

なにそれ、なんでまた新たにビックリだして来るのかなぁ!?
心臓バクバクだ!!

「驚いた?俺も宮比ちゃんと旅館で会った時は、もう一晩寝れないぐらいビックリしたよ」

「(寝れなかったの!?)」

「いつかなぁ・・・多分、宮比ちゃん7歳で俺が・・・そっか、10年上か俺」

「(私7歳で京さん17歳、もしかしてロリコンだったんですか?)」

もう、意味が分からない状況で疑問が疑問を生んだ。
分かんない・・・つか、昔の事すぎて憶えていない。

歳離れ過ぎだろう。

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