LOVE IDIOT
都さんはなにも聞かずにまた台所まで行った。
冷蔵庫を開けてる音がする。

・・・そういやお腹空いたなぁ。

「・・・(もうこの髪飾りも意味ないか)」

私は久々にアップにしてた髪をたらし、髪飾りを取った。
ふぅ・・・なんか疲れたな。

もう、涙も出な―――――。

「あー!!か、髪飾り取っちゃったんですか!?」

「(ビクッ)ぇっ」

「可愛かったのに・・・」

都さんはシュンとした顔でまたやって来た。
しかも両手にはホカホカの肉まんらしきものが。

「どうぞ、お、美味しいですよ!」

「え・・・ど、どうも」

「お口に合うか分かりませんけど、うちの実家が作った肉まんなんですっ」

実家?

私は肉まんの事を聞こうと思ったけど、都さんはパクリと肉まんをほおばる。
・・・ほっぺがフニフニしてそう、可愛いな。

「・・・(大きい肉まんだ)」

「・・・?み、宮比さん?ももも、もしかしてお腹空いてませんですか?」

「(日本語おかしいなぁ)え?あ、いや、美味しそうだなーって」

「あ、え・・・遠慮なく、どうぞ!」

都さんは自信たっぷりな顔で私に言った。
そういや、都さんとこの肉まん似てる。

いや、別に都さんが太ってるって意味じゃないんだけどね。

「(・・・じ、じゃあ)」



はむっ



「ん!おいひぃ」

「そ、そうですか!?良かったぁ(にこ)」

「!(初めての笑顔)」

ジューシーで、お肉がすぐにとろけてしまう。
凄く・・・温かくて、美味しい。

・・・安心する。



ぽろっ



「実は私の実家って、中華レストラン経営してて・・・って、みみみ、宮比さん!?!?」

「・・・うぅ・・・ひっく(涙が止まんないよぉ)」

「あわわわゎ・・・!!!」

私が泣き始めると都さんは立ち上がって、ハンカチを取り出した。
立ち上がる必要なかったのでは?

「な、泣かないで!」

「ひっく・・・都さぁあんっ!!(もうこうなりゃヤケだぁ!)」

「ひゃあいっ!??!」

< 90 / 289 >

この作品をシェア

pagetop