転んだら死神が微笑んだ
山田「どけっ!」

おじさんは、わたしの前にやってくると、腕でわたしの体を払いのけ、先に進もうとした。

それをわたしは、なんとか先には進ませまいと、必死におじさんの腕をつかんだ。

山田「何をするっ!放せっ!」

あかり「イヤです。絶対に放しません。」

振りほどこうとする腕に、なんとか歯を食いしばって抵抗する。

でも力の差ははっきりしすぎていて、そんな抵抗もむなしく、わたしの体はあやつられ離れていった。


貴志「このっ!!」

わたしがしりもちをついて倒れた瞬間、タカシが山田のおじさんの背中にハイキックしていた。

ドカッ

おじさんのサングラスが宙に浮き、おじさんの体はそのまま前の方に倒れていった。


山田「何ばすっとやっ!!」

罵声がタカシに浴びせられると、タカシはおじさんの方を振り返りニャッと笑っていた。

貴志「あかりっ!悪いけどもうちょっと時間稼ぎしといてくれ。俺ちょっと行ってくるから。」

あかり「はっ!?わたしを置いてどこ行くのよ!」

貴志「俺のほうが足速いからな。」

あかり「どんな理由よっ!」

アイツはわたしをそのまま置き去りにし、走って行った。

山田「待てっ!コラッ!」
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