転んだら死神が微笑んだ
山田「おしゃべりの時間は終わりだ。ここから先は見せられない。」

おじさんの足が止まった。

わたしたちは、工場の前に着いていた。

おじさんが私に近づいてくる。

山田「まさか、四度も会っちまうとはな。だが、もう会うこともないだろう。お父さんによろしくな。」

あかり「い…嫌…。」

山田「しばらく、眠って…」

おじさんがわたしの肩に手をかけ、もう片方の手を後ろにすばやくふりかぶろうとした。

貴志「早くっ!」

山田「あっ?!」

おじさんの後ろには、タカシが立っていた。

アンタどこ行ってたのよ。何してきたの?

貴志「早くこっから逃げてください!」

山田「あの小僧、何してやがる?」

タカシのあとから、一人の男の人が出てきた。

あれは、坂口さんだ。

坂口「君、一体さっきから何を言ってるんだい?いきなり僕を呼び出して。」

貴志「いいから!早く逃げてください。あいつが、あなたを殺そうとしているんです。」

山田「余計なことを…!」

山田のおじさんは、わたしから手を放し、坂口さんのほうへかけていった。

坂口「あ、ああっ!!」

きっとタカシから何の事情も聞いていない坂口さんは、山田のおじさんの異様な雰囲気だけで危険を察知したんだろう。

おじさんとは逆の方向へ走りだした。
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