転んだら死神が微笑んだ
貴志「わ、悪い。これ見たら、腰抜けちまった。ハハハ…。」

銃をわたしに見せながら、笑っている。『ハハハ』じゃないっての…。


山田「返してもらうぞ。」

あれだけ抵抗していたタカシだったのに、本物の銃と本物の殺し屋を目の前にして、何もできなくなっていた。

ムリもないか。

わたしだって怖いもん。

タカシを責めることはできない。

すっと銃を取り上げるおじさん。

山田「そこでおとなしくしてろ。」

そう言って、坂口さんの逃げていった方向にゆっくりと戻っていった。

しかし、おじさんの足がその方向をむいたまま止まった。

山田「獲物から、のこのこやってくるとはな。手間がはぶけたぜ、坂口。」

おじさんの先には、坂口さんがおどおどしながら立っていた。
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