転んだら死神が微笑んだ
山田「疲れ果てた男は家に帰った。事情を説明し、家族に心配させたことを謝ろうと。家族の下で休みたかった。」

山田「だが、それは叶わなかった。」

あかり「どうして…?」

山田「家の中に入ると、そこはめちゃくちゃになっていた。家具は荒らされ、いろんなものがひっくり返っていた。呆然とし、足元を見ると、死体が転がっていた。…愛する妻と娘が二人抱き合って倒れている姿をな…。」

山田さんの背中が震えていた。

その時、わたしは気づいた。

おじさんの話している『男の人』が『おじさん』であることを。



山田『妻と娘が一人いるんですが…、今は一緒にはいません。』



あかり「それって…、おじさんのことなの?」

山田「…ああ。そうだ。俺が馬鹿だったばっかりに…。俺が『いい人』でいたいと思ったばっかりに、妻と娘は死んじまったのさ。」
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