転んだら死神が微笑んだ
山田「それから、俺は生まれ変わった。悪い人間にな。奴らに復讐するために。だが、悪い奴らの数にはキリがない。何人地獄に落とそうと、湧いて出てきやがる。だから視点を変えたのさ…。俺のような、こういう何もわかっちゃいない、『いい奴』を早目に始末することにしたんだ。」

坂口「う…うわああああっ!!」

突然、坂口さんは頭を抱え叫びはじめた。

死に直面している恐怖からなのか、それとも山田のおじさんの過去を聞いたからなのか、なんなのかはわからなかった。

ただ、そんな坂口さんを見るのはとてもできなかった。

その理由さえもわたしにはわからなかった。

山田「だから、コイツは死ななければならない。人殺しの道具を作る前に。まわりの人間が巻き込まれる前に!」

坂口「…そうだ。その通りだ…。殺してくれ!」

叫び声を上げていたはずの坂口さんが口を開いた。手をついてうなだれている。

あかり「何言ってるの!?おじさん!」

坂口「ごめんな〜。せっかく助けようとしてくれたのに…。」

貴志「…。」

坂口「家族や従業員たちを巻き添えにするわけにはいかないんだ…。僕のためなんかに…。」

坂口さんは涙を流していた。

坂口「僕が死ねば、家族も、従業員も…、そして多くの人間が死ななくて済むんだ。そうだよな?」

山田「そうだ。奴らは、鍵を握っている人間以外に興味はないからな。」

坂口「だったら、殺してくれ。あんたのことなんか、恨まないから…。恨めないから。」

山田「ああ、苦しまないようにやってやる。…。」
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