転んだら死神が微笑んだ
公園に行くと、タカシが先に来ていた。ブランコをこいでいた。

貴志「よう。」

あかり「よう。」

貴志「ニュース見たか?」

あかり「見たよ。」

貴志「二人とも助かったんだな。」

あかり「うん。」

わたしもタカシのとなりに座った。

貴志「たしかに、あのとき俺たちは何もできなかったかもしれない。」

あかり「…。」

貴志「でも、力にはなれたんじゃねーか?」

タカシが急に立ち上がって、聞いてきた。

ホントにそうなのかな…?

何もできなかったのに、それで力になったなんて、ありえるのかな?

公園は、子どもたちの声で溢れていた。

タカシの立ち上がった後に、子どもがやってきた。

あかり「でも…。」

貴志「そう思えよ。そう思わなきゃ、お前がダメになっちまう。そして、忘れちまえ。今回のことは忘れるんだ。」

子どもがブランコを、うれしそうにこぎはじめると、タカシはわたしに手を差し出して、言ってきた。


貴志「俺たちは、自分の信じる道を進んでいこう。でも、もしその道が間違っていたり、迷ってたら、俺らお互いに注意して、正しい方向へ引っ張って行こうぜ。」


また、笑ってる…。

わたしが変な顔をしていると、いつもタカシは笑ってる。


信じて笑ってくれている。


わたしもアンタのこと、信じていいのかな?


あかり「ホント!たまーーに、カッコイイこと言うんだから。」

わたしはタカシの手を取った。


わたしが立つと女の子がやってきて、そのブランコに乗った。


貴志「いい加減、俺がカッコイイってこと自覚したらどーだ?」

あかり「ことわる。」




ねぇ、タカシ。

どうして、あの時、わたしに手なんて差し出したの?



わたしはいつか、アンタのことも忘れなきゃいけないの?



   … to be continued
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