転んだら死神が微笑んだ
わたしが階段を下りていると、お父さんがちょうどドアを開けてトイレに行こうとしていた。

お父さん「お、あかり。今日はずいぶんおしゃれしてるな〜。どっか行くのか?」

あかり「どっか行くから、階段下りて玄関に向かってるのよ。」

お父さん「つ…冷たすぎるよ、あかり〜。夏だからって、わざわざそんな接し方しなくてもいいんだぞ〜?」

あかり「…。今度そういうこと言ったら、一生口きかないからね。」

無視して行こうと思ったけど、あまりにもちょっとキツすぎたから、わたしはお父さんに向かって、トドメの一言を言ってしまった。

お父さんの顔は青ざめて見え、少し固まった後、何が起こったのかと直前の記憶を失っており、首を何度も振ったり、頭を叩いたりしていた。

さすがに、言っちゃいけないことだったかな…。

でも、こんなお父さんでもまだ『オヤジ』にはなって欲しくないから。

まだ若いんだし、お父さんにだってまだまだチャンスはあるんだよ。

……。

ちゃんと、そこまで言ってあげればいいのかな?
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