転んだら死神が微笑んだ
いつもの道を、違う格好で歩いているわたし。

格好が違うだけで、こんなにも気分が違うものなんだろうか?

いつもいつも、『いつもと同じ』だと思っていた道も何だか変わって見える。

貴志「……。何だ、やっぱり、あかりか。」

何か変な影が私の真横を通り過ぎようとしてると思ったら、それは、やっぱりタカシだった。

コイツが私の視界に現れると、まるで今までの景色が夢のように消えていつもの景色に戻った。

あかり「あいかわらず、人がキラキラしてる夢の中で浸ってる時にズケズケと入ってくるわね。」

貴志「基本的に妄想がひどいだけだろ?」

あかり「もっ、妄想って…。」

貴志「お前は知らないだけかもしれないけどな、世間一般じゃ、そーゆうの『妄想』っていうんだよ。」

あかり「う…。」

やっぱり、わたしってどっかおかしいのかな?だから、いままでひとりで居たのかな?

最近になって、自分のことがいちいち気になる。

ほんのちょっと前までは、まったく気にならなかったのに…。

コイツが現れてからだ…。

貴志「ま〜、『馬子にも衣装』ってのは、よくいったもんだよな。」

あかり「何それ?」

貴志「知らないのか?日本の伝統的なことわざだぜ。変人にも立派なもん着せれば、マシに見えるってな。」

あかり「ち、ちょっと、それどういうことよ。」

心の中じゃ否定できないわたしがいた。

だから、もっとひどく言い返せたはずなのに、なぜか足踏みしちゃって、簡単な言葉を口にしていた。
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