転んだら死神が微笑んだ
乗り込むタカシが手を振ってきた。

わたしもそれに答える。

周りの人もお互いに手を振っている。

子どもが親に手を振ったり、男の人が女の人に振っている。

完全にわたしもその中の一人になっていた。

あかり「あっ…。」

いや、いや、いや。

違うでしょー。


ピッピッピッ

ピーッ

グォォォン!


シグナルと旗とともに、横にも縦にも並んだカートが一斉に動き出す。

アイツの目、マジだ。

どうして、あんなものに一生懸命になれるんだろう?

ハンドルを何度も動かしたり、隣の車とぶつかったりしながら、すごく楽しそうにしていた。



さすがに熱く語るだけあって、タカシは一位で帰ってきた。

貴志「イエーイ!」

あかり「へぇ〜、すごいじゃん。」

まんざらでもない顔をしている。

さっきまで、ガキみたいな表情してたくせに。

周りのカップルが疎ましくわたしたちを見ている気がした。


あかり「い、行こ。」
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