転んだら死神が微笑んだ
辺りは妙に静かに感じた。

ホントはいろんな音楽やアトラクションの音、人の声が聞こえているはずなのに…。

貴志「さっき、言いかけたことだけど、ジンクスがあるのって観覧車だけだな。」

あかり「ジンクスって?」

貴志「ジェット・コースターやお化け屋敷っていわくとかはあるけど、ジンクスみたいなのはないだろ。でも、観覧車はさ、そういうのあるじゃん。『恋人どうしで乗ると、絶対に別れない』とか。」

あかり「へぇ〜。ここの遊園地の観覧車って何があるのかな?」

貴志「ここは、一緒に乗って、頂上のとこであの海に沈む夕日を見ると幸せになれるって話だぞ。」

あかり「ふぅ〜ん。じゃあ、夕方とか、カップルでいっぱいなんだね。」

貴志「だろうな。きっと下にいる奴らも、それ目当てが多いだろう。」

あかり「ま〜、わたしたちには関係ないけど。」



時間は刻々と流れていく。


海に夕日が沈んでいくのが見えた。

わたしはそれを黙って見ていた。
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