転んだら死神が微笑んだ
ふてくされ始めたお父さんは、駅の舎内からなかなか出ようとはしなかった。

あかり「早く!」

お父さん「だって、暑いの苦手なんだもん。それに日に焼けるのあんまり好きじゃないし…。」

あかり「OLみたいなこと言わないでよ。一応男でしょ?」

お父さん「『一応』ってなんだよ〜?あ、そうだ、あかり。いいものあったんだ。」

何かを思い出したみたいに、お父さんはボストンバックから小さくて細長いものを出した。

あかり「何それ?」

お父さん「あかりのために、いい物買ったんだ。ほら、日傘。」

それは、折りたたみ式の日傘だった。

白くて、ふりふりのレースがついている。

柄のところには白いポンポンつきだ。

いったい、どうやって購入したんだろうか?

お父さんがその日傘を購入している姿が、あまりにも突拍子がなさすぎて、想像すら危ぶまれた。
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