転んだら死神が微笑んだ
母子は何度も頭を下げながら、遠くに行った。二人でにっこり笑いながら。

貴志「なっ!」

あかり「『なっ!』じゃないわよ!何アレ?何っ!?」

貴志「そうなんだよな〜。何もしてねぇのに、お礼されちまった。」

あかり「したでしょ!?ねつ造。今!」

貴志「『笑顔』なんてさ、作れんだよ。自分の笑顔だって、自分で作らなきゃ、できねーだろ?こんなふうに…ニッ!」

コイツはバカみたいな笑顔をわたしに見せた。

それを見て、わたしは…

なんか、

ムカついた。


あかり「バッカじゃないの!アンタ、本当に悪魔か、なんかなんじゃないっ?!わたしのときめき返してよね!フンッ。」

わたしはコイツに背を向け、速歩きで歩いた。

貴志「おい!『ときめき』って何だよっ。ちょっと、待てって。」
< 31 / 284 >

この作品をシェア

pagetop