フリーな執事様
「だから放れたくない」

「奏様」



なんて無理だよね。



「…」

「幸はもうこの家にはいられなくなるんだよね」

「それは…」



うんうんわかってる。お金がない今、執事を雇う余裕なんてあるわけない。



「放れたくない」

「…」



………



「なんで何も言ってくれないの」

「奏様」

「幸までいなくなったら私」



私はその場で大声で泣いてしまった。



「私はあなたから放れたりはしません」

「え?」

「…」



幸はいつもよりも真剣な眼差しで私を見つめていた。

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