スワローテイル・バタフライ
「亜蝶は相変わらずカタイなぁ」
浩太が苦笑する。
「お前なー、バー来て酒飲まなくてどーすんの」
「お酒じゃないやつ飲めばいいでしょ」
「え〜〜そんなのつまんないじゃぁ〜〜ん!亜蝶も飲んでみなよぉ!大丈夫!抵抗なんてすぐなくなるってぇ!」
「そうう問題じゃないの〜っ!」
あたしが思わず声を荒げると、浩太が焦ってその場をなだめた。
「わかったわかった、亜蝶はアルコールの入ってないやつな。で、君は?」
「ん〜…何か飲みやすいやつがいいなぁ〜。甘めだけどちょっとスパイスきいてるみたいな!」
「そうだなぁ〜…このマーマレードとかどう?」
「あ、おいしそう!じゃそれにするぅ〜!」
「てか、初めましてだよね?名前なんてーの?」
「あっ、亜蝶と同じクラスの樋口梓って言います!よろしくぅ★」
100カラットのダイヤにも負けず劣らずの梓の笑顔に鼻の下をでれーんと伸ばす浩太。
カッコ悪っ。
今の顔、温水洋一がのほほーんとしながらマスカラ塗って更に鼻の下が伸びてる時の顔みたい。
「って、おい亜蝶!そっぽむいてないでお前がちゃんと紹介しろよ!」
「………………」
浩太の言葉に耳を貸さず、あたしは一人でもくもくとジュースを飲んでいた。