スワローテイル・バタフライ


「亜蝶は相変わらずカタイなぁ」


浩太が苦笑する。


「お前なー、バー来て酒飲まなくてどーすんの」

「お酒じゃないやつ飲めばいいでしょ」

「え〜〜そんなのつまんないじゃぁ〜〜ん!亜蝶も飲んでみなよぉ!大丈夫!抵抗なんてすぐなくなるってぇ!」

「そうう問題じゃないの〜っ!」


あたしが思わず声を荒げると、浩太が焦ってその場をなだめた。


「わかったわかった、亜蝶はアルコールの入ってないやつな。で、君は?」

「ん〜…何か飲みやすいやつがいいなぁ〜。甘めだけどちょっとスパイスきいてるみたいな!」

「そうだなぁ〜…このマーマレードとかどう?」

「あ、おいしそう!じゃそれにするぅ〜!」

「てか、初めましてだよね?名前なんてーの?」

「あっ、亜蝶と同じクラスの樋口梓って言います!よろしくぅ★」


100カラットのダイヤにも負けず劣らずの梓の笑顔に鼻の下をでれーんと伸ばす浩太。


カッコ悪っ。

今の顔、温水洋一がのほほーんとしながらマスカラ塗って更に鼻の下が伸びてる時の顔みたい。


「って、おい亜蝶!そっぽむいてないでお前がちゃんと紹介しろよ!」

「………………」


浩太の言葉に耳を貸さず、あたしは一人でもくもくとジュースを飲んでいた。
< 10 / 47 >

この作品をシェア

pagetop