スワローテイル・バタフライ
「へぇ〜!いいなぁ兄弟」
「俺ら一人っ子だもんな」
そう、あたしと創は一人っ子。
まぁ、うちらは小さい頃から一緒にいたしキョーダイみたいなもんだけど、やっぱり本当の家族とはちょっと違う。
「浩ちゃんがここで働き始めてから毎日のように様子を見に来るの。心配なのね〜」
「大丈夫だっつってんのにな」
「あらぁ!アタシは嬉しいわよ?たっちゃんに毎日会えるなんて夢みたい」
…この人、浩太のお兄さんが好きなんだ…。
一瞬、余計な想像が脳裏を過ぎる。
それから、しばらくは京子さんの独壇場で浩太のお兄さんの素晴らしさを散々聞かされていたのだが、話題はそのうちに“学校での浩太”へと移行していて
その質問に今度はあたしと創が尾ヒレ背ヒレをつけて大げさに答えを返していた。
すると……
「おいおい、ここはいつから中坊のたまり場になったんだ?」
突然、一際低い大人の声があたしたちの会話を断ち切った。
「兄貴」
「よぉー。今日もちゃんとやってっかぁー?」
お兄さんは、その声からは想像できない程に可愛らしい笑顔で浩太の頭をぐしゃぐしゃとなでる。
この人が…
浩太のお兄さん…。