スワローテイル・バタフライ
「ヤメロよ!ガキじゃねんだから!」
浩太が頭の上で暴れていたお兄さんの腕を振り払うと、
「あ、こいつら俺のダチね」
あたしたちを顎でしゃくりながらそう言った。
ドキッ…。
浩太のお兄さんと一瞬目が合う。
それだけで、身体の奥から熱い何かがこみ上げてくるのを感じた。
な、なに?どうしちゃったのあたし…。
しかしその視線はすぐに、創の方へ向けられてしまった。
「あ、俺この子会った事ある。お前と同じサッカー部の子だろ?」
「ちス!お久しぶりっす!」
「俺イイ男はたいがい嫌いだけど、お前はイイ奴だよなー。ははっ」
あたしは何故か浩太のお兄さんから目が離せなくなって
浩太や創たちとじゃれあうその姿に、しばらくの間見とれていた。
「亜蝶?」
そんなあたしの様子に気づいた浩太が、不思議そうにあたしの顔を覗き込む。
「どーしたんだよ、ぼけーっとして」
「え?や…」
ハッとして顔を背けると、
「へぇ〜亜蝶っていう名前なんだ!変わった名前だね!」
そう言ってあたしに微笑むお兄さんとまた目が合った。