スワローテイル・バタフライ


昔こんな事があった。


近所の家で子犬が生まれたというので、一匹ウチで引き取る事になり、やってきたのは生後三ヶ月のチワワ。


そいつはランと名付けられた。



ランが家に来た時、一番嬉しそうにしてたのは兄貴で、実際面倒も一番よく見ていたと思う。


だけど…


半年ほどが経った頃くらいから

ランの様子が少しずつおかしくなっていた事に俺は気付いた。




“兄ちゃん、ランの歩き方なんか変じゃない?”



“あぁ、昨日散歩行った時に階段から落ちたんだよコイツ。バカだよなぁ”



兄貴は仕方ないなぁって顔で笑っていたけど

一緒にいるランは明かに身体を震わせながら怯えていた。


大体散歩している時に階段から落ちるなんてよくよく考えたらおかしな話で、飼い主の監督不行き届きもいいとこだ。




“助けて”


ランの目がそう言っているような気がしたから

俺は兄貴の様子をコッソリ観察する事にした。




そこで


俺はとんでもない光景を目のあたりにする事になる。
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