スワローテイル・バタフライ
act.5

【波紋】



「こんな時間まで何処で何をしてたんだ!!」


家についたのは結局12時過ぎで、玄関を開けた瞬間、仁王立ちで般若のような顔をしたお父さんに怒鳴り散らされた。


そりゃ怒るのも無理はない。

連絡一つよこしさえすればまた違ったのかもしれないけど、あの状況でそんな気を回す余裕なんてあるはずがなかった。


あたしは家庭内落雷をもろに受けながら、本当に反省してますという色を見せて

「ごめんなさい…」

と一言呟く。


するとお母さんが助け舟を出してくれた。

「お父さん、亜蝶も反省してるみたいだし、この辺にしといてあげましょう?」

「しかし…」

「亜蝶ももうわかったわよね?もうしないでしょ?」

そういって優しい笑顔で頭を撫でてくれるお母さん。

「うん…」


実はこれが家庭内円満の秘訣だったりする。

お父さんの、下手すりゃ三日三晩ノンストップで続きそうな説教を止めてくれるのがお母さんの役目だったのだ。


結局、一週間寄り道禁止令という今のあたしには残酷すぎる条件と引き換えに、説教部屋から身柄を解放された。


ちぇ〜。

一週間HEVENS DOORに顔出せないのかぁ…。

寂しいなぁ…。


でも自業自得だし…。

店に通ってる事だけは絶対バレないようにしないと!


その日あたしは布団の中で、どうお父さんの機嫌を取って門限を延ばしてもらおうかという事ばかりを考えていたのだった。
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