スワローテイル・バタフライ


「お前テニス高校でも頑張って全国行きてぇって言ってたじゃねーかよ」


創に痛いとこを突かれてあたしは押し黙る。


「そんな簡単に辞められるモンだったわけか、お前にとってのテニスって」



…創、怒ってるの?



「ま、まぁまぁ!いいじゃない!亜蝶の人生なんだからさぁ〜。恋に走るもよし、青春に身を染めるもよし!決めるのは自分なんだからぁ」


この異様な雰囲気に耐えられなくなったのか、梓がなんとか場の空気を和らげようとフォローを入れてみたものの、


「うっせぇな!お前は黙っとけ!」

「なっ…何よ!そんな怒ることないでしょ!?わけわかんない!!」


それは火に油を注ぐ結果となってしまったのだ。


あたしはその火に弱々しく訴えかける。


「だ…だって…あたし人好きんなったの初めてだから…どうしていいか…わかんなくて…」


そりゃ、テニスは好きだよ?
部活は楽しい。

だけど…

それ以上に惹かれるものを見つけちゃったんだもん…。


それに近づくチャンスが手に入るなら

あたしはその一歩を踏み出したいんだよ。



「はっ。くだらねぇな。お前には自分ってもんがねーのかよ?」



創があたしを見下すような目でそう言った。


さすがに少し頭にきた。


何でそこまで言われなきゃなんないんだろう。
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