スワローテイル・バタフライ



あたしはその夜、早速お父さんに例の件を相談してみる事にした。


「何ぃ?バイト?」


お父さんが例の如く片方の眉をピクリとあげる。

これはあまりよろしい反応ではない事を示している証拠だ。


しかし恋する乙女は転んでもただでは起きない。


「いいでしょう?あたしもう高校生だよ?」

「学生の本分は勉強だろう?そんな事に時間を費やす暇があるなら勉強しろ!」


あまりにも石頭すぎるお父さんに、あたしは半狂乱になりながら抗議を続けた。

「何でよ!何でダメなの!?」

「そんな事で成績が下がったらどうするんだ!」


確かに、うちの学校はこの辺の公立じゃ結構頭のいい学校で

入試の時、あたしは首席で合格したかもしれない。


でも…

「そんなのおかしいよ!うちの学校、別に名門とかじゃないし!家から近いって理由だけで選んだし!そんなトップをキープした所で国立大学行けるレベルなわけでもないし!

成績がどーとかって理由で反対されるのは納得行かない!」


あたしの剣幕にお父さんもお母さんもア然としていた。

きっと、今まで反抗したことのなかったあたしが、こんなに口答えしてる事が信じられないんだと思う。


「亜蝶…最近様子がおかしいわよ?一体どうしたって言うの」



心配そうに尋ねるお母さん。


「…どうもしないけど」

「とにかくダメだと言ったらダメだ。バイトなんて大学入ってからで十分だ!」


ウザイ。


生まれて初めて、お父さんに対してそう思った。
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