スワローテイル・バタフライ
今までだって色々口煩く言われてきたけど、なんだかんだ心配してくれているからだとわかっていたからあたしも言うことを聞いてきた…。

だけど、今はとてもあたしの為に言っているようには思えない。


お父さんはあたしを表面的ないい子ちゃんに仕立てあげたいのだろうか?


一歩下がって客観的に見てみると

うちって凄い窮屈だったんだな…。


あたしは一人暮らしをしたいと言っていた浩太の気持ちがなんとなくわかった気がした。


「じゃーもういいよっ」


ふて腐れた口ぶりでぶつけるようにそう吐き捨てると、あたしは階段を駆け上がり自分の部屋へ閉じこもったのだった。





翌日。

「わっ…どーしたの?元気ないじゃん」

めずらしく梓が机に突っ伏したままダークなオーラを背負っていたので、あたしはその理由を聞いてみる。


「どーしたじゃないよぅ…昨日から創が冷たくなっちゃったのぉ…!」

「えぇっ?」

「亜蝶が部活辞めるとか言って創を怒らせたからだよぉ〜!創に謝って機嫌とってきてよぉ!」


うわぁーんと声を上げながら泣きじゃくる梓。


「な…何であたしが謝るのよー…大体、あたしが部活辞めようが何しようが創には関係ないじゃん…」

「とにかく機嫌とってきて!幼なじみでしょ!?」


…………はぁ。


何であたしが…と思ったけど、梓にまで迷惑をかけてしまったのなら仕方がない。

謝ればいんでしょ、謝れば。


…………てか一体何に謝ればいいんだ?

簡単に辞めるとか言ってゴメンねって?


なんか変じゃない?それ。


あたしの人生はあいつのさじ加減で決まるんか?

てかむしろ八つ当たりされたあたしの方が被害者なんじゃないの?



創たちのいる隣のクラスに近づけば近づく程、謝る気が失せていく。


世の中ってなんて理不尽なんだろう……。


あたしは心の中でそう呟いた。
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