スワローテイル・バタフライ
そうこうしてるうちに
創のクラスに到着。
梓があたしを盾にしながら教室の中を覗いた。
「いた!いたよ!」
「そりゃいるでしょ…」
ドアの影から小突き合っているあたしたちに気付いた浩太は、創を連れて廊下に出てきてくれた。
グッジョブ!!
なんて空気の読める奴なんだあんたは!
素敵すぎるよ!!
あたしが感動の視線を浩太に向けている傍らで
まるで空気の読めない……
ってか読まない奴が約一名。
「……………」
「「「……………」」」
わざわざこんなとこまで出向いてやったってのに
奴はてんで不機嫌丸だしで、話そうともしなければこっちを見ようともしない。
勿論創の事を言っているのだ。
「創…まだ怒ってるの?」
一応下手に出ながら相手の様子を伺ってみるあたし。
「別に。怒ってねーよ」
う…嘘つき!
明らか怒ってんじゃん!
「じゃあなんでそんな不機嫌なのっ!?梓怖がってんじゃん!」
「ちっ……るせーな。そんな話するためにわざわざ来たのかよ!」
「そ…そんな話って、大事な話でしょうが!」
「…うぜ。俺教室戻るわ」
創はくしゃくしゃと後頭部を掻き交ぜると、だるそうに教室の中へ一人で戻って行ってしまった。
沈黙が漂う中、梓の方を一瞥すると
彼女はかなり凹んでいる様子だ。