小学生彼氏。






紐がゆっくり口を開く。




「あたしも否定したの。



でも


どーしてもって頼まれて、栗に頭下げられて…つい…」



「じゃあさ、俺が頭下げたら、バンド辞めてくれる??」



紐はまっすぐあたしを見つめる。



その瞳に涙が滲んでいるのが分かった。




涙目の紐は、この上なくかわいい。




『涙は女の武器』





と言うけど、あたしは





『涙は紐の武器』




だと、この時本気で思った。






紐の涙目に負けて、うん、って言いそうになった時






「…なーんてね」





そう言って、紐がふにゃっと笑った。






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