月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
達郎の肩書きを珍しく思う人は多い。

洋子は興味津津といった感じで達郎を見つめた。

しかし洋子のような美人に見つめられても、相変わらず達郎は無表情だった。

それどころか

「どうかしましたか」

と、いつものどこか憂いを含んだ瞳で見つめ返した。

「い、いえ…」

むむっ。

洋子の頬が赤く染まったのをあたしは見逃さなかった。

さてはこのテの男がタイプか?

「ではいくつか質問していいですか」

達郎がそう言ったので、あたしは本来の目的を思い出し、あわてて居ずまいを正した。

「あなたと吉原さんは親しい間柄だったと聞きましたが」

「しのぶとは同じ日に入店しました。年も同じだったので、それで自然と話をするようになったんです」

「プライベートでもお付き合いはあったんでしょうか」

洋子は首を振った。

「こういう仕事のせいかあたし昼間は寝ちゃってるんです。休みの日に電話で話したりはしてましたけど」

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