月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「変わったこととは?」
予想しなかった答だったのか、達郎はオウム返しに訊いた。
「あるお客さんの冗談にしのぶが突っ込んだんです。お客さんは『キツい言い方だな』って笑ったんですけど」
洋子はおもむろに自分の左手を顔の前まで持ち上げた。
「そしたらしのぶはこんな風にして『私には人間の血が流れてませんから』なんて言うんです」
は?なんですと??
「それ聞いたお客さん面白がっちゃって『じゃあどんな血が流れてるのか切って見てみよう』なんて言い出したんです」
その場にいたわけじゃないからなんとも言えないけど、なんか物騒な話。
「しのぶはなんて返したと思います?」
ぜんぜん見当つかない。達郎も手を組んだまま黙り込んでいる。
「しのぶは『私の血は七色だから見たら目が潰れますよ』って言ったんです。お客さんは大笑いしましたけど、一緒のテーブルにいたあたしは呆気にとられちゃいました」
予想しなかった答だったのか、達郎はオウム返しに訊いた。
「あるお客さんの冗談にしのぶが突っ込んだんです。お客さんは『キツい言い方だな』って笑ったんですけど」
洋子はおもむろに自分の左手を顔の前まで持ち上げた。
「そしたらしのぶはこんな風にして『私には人間の血が流れてませんから』なんて言うんです」
は?なんですと??
「それ聞いたお客さん面白がっちゃって『じゃあどんな血が流れてるのか切って見てみよう』なんて言い出したんです」
その場にいたわけじゃないからなんとも言えないけど、なんか物騒な話。
「しのぶはなんて返したと思います?」
ぜんぜん見当つかない。達郎も手を組んだまま黙り込んでいる。
「しのぶは『私の血は七色だから見たら目が潰れますよ』って言ったんです。お客さんは大笑いしましたけど、一緒のテーブルにいたあたしは呆気にとられちゃいました」