雨のち晴れ
「そろそろ帰るか」
そういってアズが立ち上がり歩きはじめた。
えっ、まだ肝心なことが
言えてないよ…
待って…アズ
そうおもった瞬間
後ろから抱きついてしまっていた。
「か、嘉穂!?」
アズはびっくりして立ち止まった。
「あの、あのね、あたし…まだ言わなきゃ行けないことがあって」
アズがこっちを向いてなんや?って
いいながらあたしの顔をみた。
「あたし、アズのことがす…」
と言いかけたとき
アズがあたしの唇に指を当てた
そして顔を近づけてきて
小さし声で囁いた
「そういうのは男が言うんやで
嘉穂…好きや」
少し見つめ合ってあたしたちは
自然と唇を重ねた。
「ほんじゃ、帰るか」
「えっ…」
終わり…?
せっかく両想いなのに…
少し俯いて泣きそうになっていると
アズが頭を撫でて言った。
「そんなさみしいか?」
「…うん。だって好きなんだもん。一緒にいたいよ…」
「俺も一緒にいたいで。ちょっとの間だけやって。またすぐ会える」
「本当に?」
「おう!やから遠距離でも浮気すんなよー」
とアズはニコッと笑った。
それにつられてあたしも
笑顔になった。