学芸会
急に立ちくらみがして、
目の前が真っ暗になり、
床に崩れ落ちた。
気が付いた時には
病院のベッドの上
そんな事があったのだ。
その日から突然、
家族や周りの人達が
妙に優しかったり、
気を使っていたり、
とにかく変だったのである。
ドラマかなんかで
こんなシーンを見た事があるけど、
自分がそうなるとは
全く予想もしていなかった。
不安になった僕は、
お母さんと病院の先生が話している所に忍び込み、
聞いてしまったのだ。

「あの子は…どうなんですか?先生…亮太は何か悪い病気なんですか?」
「お母さん、落ち着いて聞いてください。亮太君はうちのような小さな病院ではなく、大きな病院に移す必要があります。と言うのも…」
その時、
急に僕の名前を叫びながら
看護婦さんが歩み寄ってきた。
「こらー!亮太君ダメでしょ?勝手に部屋からでちゃ!」
その声に驚いた僕は
思わず「わっ!」と口をついてしまった。
当然ながらそれに気付いた先生と母親は、
何事かと辺りを見回した。
幸い彼らには
声の主が僕であることは
気付かれなかった。
僕は慌ててその場を離れた。
不安な気持ちが暴走するのを必死で抑えた。
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