オレンジ色
「秋〜これね、前から秋が欲しがってた、くまのぬいぐるみなの。でも、うちのお金じゃ買えなかったから自分で作ったの。こんなの下手くそだよね!」
私はあの時の百合のこの言葉を忘れることはないだろう。
「上手いよ!百合っ。ありがと〜。」
「えっ!そう。うちこそありがとう!」
「うんっ。」
私達はいつもこうだった。お互いの事が大好きだった。
そして、何より二人の誕生日とか特別な日必ず覚えていて、裏切るような事は絶対なかった。

□□□□□

「…き、秋っ!ちょっと〜。」
あっ!いろいろ考えてたから…。
「…由佳?ごめんね…。なんか、ボーとしてた。」
「もうっ!秋、大丈夫?」
由佳、私の事、心配してくれるんだ…。
「うんっ大丈夫。」

私は今も人を信じられないでいる。
でも、由佳と出会えて、人に少しは心を開けるようになった。由佳は私の事、考えてくれるんだ。
私の事分かってくれるんだ。
そして夏樹も…。
この人達は他の人と違うような気がするだよね。
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