愛し方/あたしマニュアル
最後の最後まで、あたしのことを“お前”って言った。
名前を読んでくれたのは1度だけ。

リングの裏に刻まれたあたしの名前を呼んで、ゆっくり薬指にはめてくれた。

真っ赤な髪の毛で、黒縁のメガネかけて、いっつもパソコンに向かってた。
あたしとパソコンどっちが好きなの?!って怒ったこともあった。

『てめーだよ!』ってぶっきらぼうだったけど、ちゃんと答えてくれてた。

ごめんねは言わない。
あーくん、最後まで人の話し聞かないの、悪い癖だよ。
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