一筋縄では逝かせない★
「…ぶはっ!痛いわいっ!!」
おじいさんは頭のこぶを押さえて、涙目になりながら池から顔を出しました。
「じいさん!生きてたのか!!」
「おじいさん…早く水から上がってくださいっ」
鬼に引き上げられたおじいさんは、
「…痛いわいっ!!」
もう一度言うと、きっ、と猿を睨みました。
「すまんじいさん…でもあれはしゃあねぇだろう…そうでもしないとじいさん金棒持っ…」
「!?」
そこで猿と鬼ははっとしておじいさんの手を見ました。
「…てねぇ!?」
「そんな!」
今度は鬼が涙目になって叫びます。
「だーってあれ重かったんだもーん」
おじいさんは開き直って無意味に胸を張りました。
でもちょっと動揺しているのが見え見えです。
「あぁっ…!」
鬼はそう呟くと池に飛び込みました。
「お…おい!」
猿は振り返っておじいさんに言いました。
「そこでちょっと待ってろ!!俺も探してくっから…え!?」
そこにもうおじいさんはいませんでした。
代わりに猿の背後でばっしゃーん!と派手な音がして、盛大な水しぶきが上がりました。