一筋縄では逝かせない★



「や…やべっ!!」



「!?」



猿と犬ははっ、と無意味に揃って口を手で塞ぐと、



「……」



黙り込んで俯きました。



無関係をアピールしています。



「う…ん…何っ…?……は!お父さまっっ!!」



目を覚ましてからしばらくは眠そうに目をぱちぱちしていた桃子は、おじいさんの姿を見つけるやいなや、



「…お父さまにお話が!」



目にも止まらぬ速さで犬の腕を引っ掴み、おじいさんの目の前に引きずりだしました。



「…はぁぁ!?」



犬は驚いて、懸命に桃子の手を振りほどこうとしますが、桃子は女の子の力とは思えないほどの強い力で、さらに犬を前へ押し出します。



「ちょっ…まっ…お前…!」



じたばたと暴れる犬を気の毒そうに眺めながら、猿ははぁ、と大きな溜め息をつきました。





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