一筋縄では逝かせない★
「え…誰?」
犬は草むらで笑い転げているそいつに思わず声をかけました。
「はーはっは!はー…?」
男はやっと犬の存在に気が付きます。
「おまえ!誰だっ「しーっ★」
男のチャーミングな言い方に犬は一瞬、黙りました。
「静かにしてくれよな★わんちゃん♪」
と、犬の頭を撫でています。
「おい!ガキ扱いすんじゃねえよ!」
「俺からしたら子供だぜ?」
犬は頑張って睨みをきかせますが、男の身長にはかないません。
「…おまえらさあ、さっきから何してんの?」
男が空から犬に視線を移します。
「さっきからって…お前みてたのか?!」
「あー…うっせ。」
答えてくれないならいいや、と男は再び空に視線を戻します。
「じゃあ、あの女誰?」
男は尋ねます。
「(あの女って…桃子?)」
「誰なんだよ?」
そういう男の横顔が曇っていたのに犬は気付いてしまいました。