一筋縄では逝かせない★
「…ぉえっぷ」
数分後、おじいさんは真ん丸のお腹を抱えて苦しそうに呻いていました。
「食いすぎだぜじいさん…」
「止められなかった俺らにも責任は…」
思わずおじいさんに同情する犬と猿に、
「…ないわね。」
桃子はぴしゃりと言い放ちました。
「そりゃちょっと厳しすぎやしないか?あんなにじいさんのこと探しまくってたくせに…」
「そりゃあそうだけど…本人が食べたくて食べてこうなったんだからわたしたちにはどうしようもなかったんじゃないかしら?」
桃子は一見冷静な様子で答えますが、視線はスポンジケーキの残骸に注がれたままです。
「怖ぇ…」
犬は思わず本音を漏らしました。
−その時。
「あ、あのさ…」
一人置いてきぼりを食らっていた男が、突然口を挟みました。
「そういえばあんた誰?」
桃子は訝しそうに首を傾げて尋ねました。
「どこかで見たことあるような気がするんだけど…」
「お前桃子って言うのか…?」
質問に質問で返す男に、
「…質問に答えなさいよ!」
桃子はキレました。
「や…さっき…このジジイが…お前のこと桃子って…」
次第に落ち着きを失っていく男の態度に、
「…?」
犬は何か違和感を感じました。